筋トレや運動をしていると、「タンパク質をしっかり摂りたい」と考えることが増えますよね。
しかし、毎日プロテインや高タンパク食品を買っていると、食費が気になることもあります。甘味料の種類が気になり、普段の食べ物で補う方法を探している人もいるのではないでしょうか。
この記事では、身近な食材を使ってタンパク質を摂る方法を、栄養量と費用の両面から考えます。スーパーで買えるおやつや飲み物、ナッツの位置づけ、プロテインの甘味料についても整理していきます。
1.安く健康的に摂るなら、身近な食材を組み合わせる
まず候補にしたいのは、鶏むね肉・卵・納豆・木綿豆腐です。これらを基本に、魚や乳製品などを組み合わせる方法を提案します。
例えば、皮なしの鶏むね肉は生の状態で100g当たり約23.3g、木綿豆腐は150gで約10.5gのタンパク質を含みます。特別に「高タンパク」と表示された製品でなくても、普段の食材から補うことは可能です。参考文献1
ただし、「タンパク質が多い食品」と「それだけ食べれば健康的な食品」は同じではありません。
農林水産省の食事バランスガイドでは、食事を主食・副菜・主菜・牛乳や乳製品・果物に分けて考えています。肉や豆腐を増やすだけでなく、ごはんや野菜なども含めて食事全体を整えることが大切です。参考文献2
安さを優先する日には豆腐や納豆、料理ができる日には鶏むね肉、調理の手間を省きたい日には魚の缶詰など、役割を分けて考えてみましょう。
毎日一つの食材だけで必要量を満たそうとするより、食べたいものや生活に合わせて選べる方が、続ける方法を見つけやすくなります。
2.まずは「どれくらい必要か」を知る
タンパク質を安く摂るためには、食品の値段だけでなく、そもそも自分がどれくらい必要としているのかを知ることも重要です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、タンパク質の推奨量は、18〜64歳の男性で1日65g、18歳以上の女性で1日50gとされています。妊娠・授乳期には別途付加量があり、65歳以上の男性の推奨量は60gです。これらは筋肥大に特化した数値でも、摂取してよい上限でもありません。参考文献3
一方、筋トレなどの運動を継続している健康な成人について、国際スポーツ栄養学会は、1日当たり体重1kgにつき1.4〜2.0gを一つの目安として示しています。体重70kgなら、食事と補助食品を合わせて98〜140gという計算になります。参考文献4
ただし、多く摂れば摂るほど筋肉が増え続けるわけではありません。
49研究・1,863人をまとめたメタ解析では、筋トレによる除脂肪量の増加について、総タンパク質摂取量が体重1kg当たり約1.6gを超えると、追加的な効果が頭打ちになる傾向が示されました。これは集団のデータから推定された値であり、全員に共通する絶対的な境界ではありません。参考文献5
節約を考えるなら、まずは普段の食事を一日分振り返り、「あと何gくらい補いたいのか」を確認してみましょう。不足量を把握せずにプロテインやおやつを追加するより、買うものを決めやすくなります。
3.「タンパク質のコスパ最強」は、同じ条件で比べて考える
「安い肉」「安い食材」を探すとき、100g当たりの販売価格だけを見ていませんか。
食品によってタンパク質の含有量が違うため、タンパク質を補う目的なら、タンパク質10gを摂るのに何円かかるかで比べる方法があります。
計算式は、次のとおりです。
タンパク質10g当たりの費用=購入価格÷購入した食品全体のタンパク質量×10
以下は、計算方法を示すための比較例です。価格は仮定であり、実売価格や全国平均価格ではありません。
鶏むね肉・皮なし・生100g
仮の購入価格:100円
タンパク質:約23.3g
タンパク質10g当たり:約43円
木綿豆腐300g
仮の購入価格:90円
タンパク質:約21.0g
タンパク質10g当たり:約43円
納豆45g×3パック
仮の購入価格:100円
タンパク質:約22.3g
タンパク質10g当たり:約45円
卵10個・可食部合計500g
仮の購入価格:300円
タンパク質:約61.0g
タンパク質10g当たり:約49円
栄養量は食品成分データベースの「たんぱく質」を用いた概算です。卵は殻を除いた重量、納豆はたれなどを含めない値で計算しています。実際の製品に栄養成分表示がある場合は、その表示を確認してください。参考文献1
この例では、鶏むね肉と木綿豆腐がほぼ同じ費用になります。しかし、店頭価格や内容量が変われば順位も変わります。したがって、「卵が必ず一番安い」「鶏むね肉がいつでも最強」とは決められません。
また、調理時間や食べ切れる量も、実際の使いやすさを左右します。少し割高でも、開けてすぐ食べられる食品を選ぶ方が、その日の生活に合っている場合もあるでしょう。
豆腐や納豆も、筋トレ中の選択肢になる
植物性のタンパク質だから、筋トレには使えないというわけではありません。
若年男性を対象とした12週間の研究では、タンパク質量を体重1kg当たり約1.6gにそろえた条件で、植物性中心の食事と動物性食品を含む食事の間に、筋量・筋力の増加について有意な差は認められませんでした。ただし、この研究では大豆やホエイのプロテインも使用しています。「豆腐だけで同じ結果になる」と示した研究ではありません。参考文献6
食品が必ずプロテインより安いわけでもない
例えば、1kg・3,000円で、重量の75%がタンパク質というプロテインを仮定すると、タンパク質10g当たりの費用は40円です。
この条件なら、上の食品より安くなります。つまり、「食品かプロテインか」ではなく、実際の価格・含有量・食べやすさで比較することが大切です。
その際は、栄養成分表示のタンパク質だけでなく、エネルギーや脂質、食塩相当量も確認しましょう。消費者庁も、これらの表示を食生活に活用する方法を案内しています。参考文献7
4.スーパーで買えるタンパク質おやつと、健康ナッツの選び方
「タンパク質を摂れるおやつをスーパーで探したい」という場合も、専用のプロテインバーだけに絞る必要はありません。
卵・納豆は、甘くない間食にも使える
卵は可食部50gで約6g、納豆は45gで約7gのタンパク質を含みます。ゆで卵や納豆を、食事だけでなく間食の候補として考えることもできます。参考文献1
「おやつは甘いもの」という枠を外すと、選べる食品が増えます。もちろん、好きなお菓子を完全にやめる必要があるという話ではありません。タンパク質を補いたい日のおやつを、別に用意しておく考え方です。
プレーンヨーグルトは、食べる量で比較する
全脂無糖のプレーンヨーグルトは、200gで約7.2gのタンパク質を含みます。商品を比べる際には、容器の大きさや価格だけでなく、自分が一度に食べる量で確認してみましょう。参考文献1
高タンパクタイプの商品を選ぶ場合も、「一個当たり何g摂れるか」「その量にいくら払うか」を見れば、通常のヨーグルトと同じ基準で比較できます。
ナッツは「大量のタンパク質を摂る主役」とは分けて考える
ナッツにもタンパク質は含まれていますが、量とエネルギーを一緒に確認したい食品です。
例えば、無塩のいりアーモンド20gには、タンパク質が約4.2g、エネルギーが約122kcal含まれます。タンパク質だけを増やそうとして大量に食べると、エネルギーも大きく増えます。参考文献1
一方、心血管疾患のリスクが高い人を対象とした研究では、ナッツを取り入れた地中海食で、比較対象の食事より主要な心血管イベントが少なかったと報告されています。ただし、これは食事全体を変えた研究であり、ナッツ単独の効果を証明したものではありません。参考文献8
ナッツは「安く大量のタンパク質を摂る食品」というより、食事に変化をつける食品として考えると位置づけやすくなります。例えば20gを小皿に出すなど、食べる量を決めて使う方法があります。
5.「健康にいい飲み物ランキング」より、目的で選ぶ
飲み物を選ぶときも、健康によさそうな順番を探す前に、何のために飲むのかを整理してみましょう。
水分補給なら、水やお茶を基本にする
農林水産省の食事バランスガイドでは、水やお茶などの水分が、食事の中で欠かせないものとして位置づけられています。普段の水分補給と、タンパク質補給を分けて考えても構いません。参考文献2
毎回の飲み物からタンパク質を摂ろうとせず、食事で補い、飲み物は水分補給に使う方法もあります。
タンパク質補給を兼ねるなら、牛乳や無調整豆乳
普通牛乳は100g当たり約3.3g、無調整豆乳に相当する食品成分表の「豆乳」は約3.6gのタンパク質を含みます。ただし、カルシウムなど、ほかの栄養素の含有量まで同じではありません。参考文献1
朝食や間食で、食べ物をもう一品増やすより飲み物の方が取り入れやすい場合には、候補になります。味や体質に合うものを選び、実際の製品表示で量を確認しましょう。
「健康によさそうな名前だから」ではなく、水分を補いたいのか、タンパク質を補いたいのか、食事で足りない栄養を補いたいのかを基準にすると、選び方が明確になります。
6.人工甘味料入りのプロテインは、健康に悪いのか
プロテインを選ぶ際、人工甘味料が気になる人もいると思います。
ただし、ここでは減量に役立つかという話と、安全性の話を分けることが大切です。
WHOの2023年のガイドラインでは、体重管理や生活習慣病予防を目的とした非糖質甘味料の使用を勧めない、条件付きの勧告が示されています。この対象には、人工甘味料だけでなく、ステビアなど天然由来のものも含まれます。一方、このガイドラインは、個々の甘味料の毒性や安全な摂取量を評価し直したものではありません。参考文献9
また、米国食品医薬品局は、アスパルテームについて、承認された使用条件のもとで安全性への懸念はないと説明しています。安全性は、「人工か天然か」という名称だけではなく、物質の種類や使用条件、摂取量などを踏まえて判断されます。参考文献10
したがって、「人工甘味料入りだから必ず不健康」「天然甘味料なら必ず健康的」と、単純に分けることはできません。
そのうえで、甘味料を避けたいという好みがあるなら、原材料を確認して選ぶ方法があります。「プレーン」「自然派」といった商品名や印象だけで決めず、実際に何が使われているかを見ることをおすすめします。
プロテインを使うかどうかも、二者択一にする必要はありません。食事で必要量を確保できる日は食事を中心にし、食事だけでは補いにくい日に利用する、という考え方もできます。参考文献4
7.安い食材で実践する組み合わせ例と、注意点
ここまで紹介した食材を、実際の食事に当てはめてみましょう。
次の例は、タンパク質源の組み合わせ例です。これだけを食べる献立ではなく、ごはんなどの主食や、野菜などの副菜を組み合わせる前提です。
朝食
納豆45g+卵1個・可食部50g
タンパク質:約13.5g
昼食
鶏むね肉・皮なし・生の重量で150g
タンパク質:約35.0g
夕食
サバ水煮100g+木綿豆腐150g
タンパク質:約31.4g
間食
プレーンヨーグルト・全脂無糖200g
タンパク質:約7.2g
これらのタンパク質源だけで、合計は約87gです。実際には、主食や副菜に含まれる分も加わります。数値は食品成分表を用いた概算で、製品や調理によって異なります。肉と卵の重量は加熱前の可食部重量です。参考文献1
これは全員に同じ量を勧めるものではありません。自分の必要量や食欲に合わせて、品数や量を調整してください。
節約より優先したい、鶏肉の加熱
鶏むね肉を使うときは、しっとりさせることだけを優先して、加熱を不十分にしないよう注意が必要です。
厚生労働省は、カンピロバクター食中毒の予防として、食肉の中心部を75℃以上で1分間以上加熱することを案内しています。生肉に触れた手や調理器具から、ほかの食品へ菌を移さないことも重要です。参考文献11
腎臓病などがある場合は、一般的な筋トレ向けの量をそのまま使わない
慢性腎臓病では、病状によってタンパク質量の調整が必要になることがあります。一方で、減らしすぎによる低栄養にも注意が必要です。腎機能の低下を指摘されている人や食事療法中の人は、自己判断で増減せず、医師や管理栄養士に相談してください。参考文献12
8.まとめ:タンパク質は「必要量・費用・続けやすさ」で選ぶ
タンパク質を安く健康的に摂るために、最初から特別な食品をそろえる必要はありません。
鶏むね肉・卵・納豆・豆腐などを候補にしながら、魚や乳製品も組み合わせる。そのうえで、タンパク質10g当たりの費用を計算すれば、自分が買う店の価格で比較できます。
大切なのは、一つの食品を「コスパ最強」と決めつけることではなく、自分に必要な量を、食事全体のバランスを崩さず、続けられる方法で確保することです。
次の買い物では、気になった食品を二つ選び、価格とタンパク質量を比べてみてください。まずは、普段の食事に無理なく組み込める一品を見つけるところから始めてみましょう。
参考文献
参考文献1
文部科学省.食品成分データベース「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。
参考文献2
農林水産省.「食事バランスガイド」の適量と料理区分。
参考文献3
厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。
参考文献4
Jäger R, et al.(2017). International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. Journal of the International Society of Sports Nutrition.
参考文献5
Morton RW, et al.(2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of protein supplementation and resistance training. British Journal of Sports Medicine.
参考文献6
Hevia-Larraín V, et al.(2021). High-Protein Plant-Based Diet Versus a Protein-Matched Omnivorous Diet to Support Resistance Training Adaptations. Sports Medicine.
参考文献7
消費者庁.「栄養成分表示の活用について」。
参考文献8
Estruch R, et al.(2018). Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts. New England Journal of Medicine.
参考文献9
World Health Organization(2023). Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline.
参考文献10
U.S. Food and Drug Administration. Aspartame and Other Sweeteners in Food.
参考文献11
厚生労働省.「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」。
参考文献12
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Healthy Eating for Adults with Chronic Kidney Disease.


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